南インドのアーユルヴェーダ施設、ナガルジュナ・アーユルヴェーダ・センターの昼食で、テーブルに運ばれてきたトレイには、「モリンガのポリヤル」という料理がありました。細長いスティック状の野菜が入っています。これが「ドラムスティック」と呼ばれる、モリンガの実(さや)です。見た目は日本の野菜炒めのような「ポリヤル」という南インド料理特有の調理法で、奇跡の木と呼ばれるモリンガがどんな味になるのでしょうか。今日は、この不思議な魅力を持つドラムスティックのポリヤルについて、詳しくお伝えします。
モリンガとは?「奇跡の木」と呼ばれる理由
モリンガは、別名「ミラクルツリー(奇跡の木)」とも呼ばれる植物です。そう呼ばれる理由は、その驚異的な栄養価にあります。葉、実、種、根に至るまで、ほぼすべての部分が食用や薬用として利用できるモリンガ。特に今回のポリヤルに使われているのは、その実の部分、通称「ドラムスティック」です。細長い棒状の形が、まるで太鼓のバチ(ドラムスティック)に似ていることから、こう呼ばれています。

モリンガには90種類以上の栄養素が含まれているとされ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ポリフェノールなど、私たちの体に必要な成分がバランスよく詰まっています。例えば、ビタミンAはニンジンの4倍、カルシウムは牛乳の4倍、鉄分はほうれん草の3倍とも言われる、まさにスーパーフードなのです。原産地はインド北西部のヒマラヤ山麓で、アーユルヴェーダでは数千年前から薬草として用いられてきました。古代の医学書には「300の病を防ぐ」と記されているほど、その効能は高く評価されてきたのです。

南インドの伝統的な野菜料理:ポリヤル
ポリヤルは、南インド、特にタミル・ナードゥ州やケララ州で日常的に食べられている野菜の炒め物です。
ここのアーユルヴェーダ施設には、毎朝、新鮮な野菜が届けられています。

モリンガのドラムスティックもその一つで、旬の時期には頻繁に食卓に登場する食材です。地元で採れた新鮮な素材を使うことは、アーユルヴェーダ料理の基本です。

ポリヤルの特徴は、マスタードシード、カレーリーフ、ターメリックなどのスパイスと、すりおろしたココナッツを使うこと。これらが野菜の自然な甘みと旨みを引き立て、複雑でありながらも優しい味わいを生み出します。調理法はシンプルで、油でスパイスを炒めて香りを出し、野菜を加えてさっと炒め合わせるだけ。素材の持ち味を活かす調理法です。

実食レポ:予想以上の「優しさ」に驚く
さて、ドラムスティックのポリヤルを実際に食べてみた感想です。食べ方が少し独特で、スティックを手に持って、中の柔らかい実の部分を歯でしごくようにして食べます。外側の固い皮は食べずに、中のクリーミーな果肉だけをいただくのです。

第一印象は「本当に優しい味」ということ。スパイスが効いているのに、全く刺激的ではありません。ドラムスティックの中身は、アスパラガスのような食感で、ほのかな甘みとクセのない味わいが特徴です。野菜そのものの風味を楽しめる、繊細な味です。ココナッツの風味がふわりと香り、マスタードシードのプチプチとした食感がアクセントになっています。確かに日本の野菜炒めと似ていますが、このスパイスとココナッツの組み合わせが、南国らしさを感じさせてくれます。
アーユルヴェーダから見たモリンガの効能
アーユルヴェーダでは、モリンガは三つのドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カパ)すべてのバランスを整える稀有な植物とされています。特に注目したいのは、以下のような効能です。
デトックス効果: モリンガに含まれる食物繊維とクロロフィルが、体内の老廃物や毒素の排出を促します。アーユルヴェーダでいう「アーマ(未消化物)」を取り除く作用があるとされています。
消化促進: 適度な苦味が消化の火(アグニ)を高め、胃腸の働きを活性化します。ポリヤルのようにスパイスと組み合わせることで、この効果はさらに高まります。
抗酸化作用: 豊富なポリフェノールが、体の酸化ストレスから守ってくれます。これは現代医学でも認められている効果ですね。
栄養補給: 現代人に不足しがちなビタミンやミネラルを効率的に補給できます。特に鉄分やカルシウムが豊富なので、女性には嬉しい食材です。ポリヤルという調理法は、油と一緒に摂ることで脂溶性ビタミンの吸収を高め、スパイスが消化を助けるという、理にかなった食べ方なのです。

日常に取り入れたい「奇跡の木」
スーパーフード・モリンガは、栄養価が高く、効能も豊富でありながら、味は穏やかで食べやすい。これこそが、何千年も前から人々に愛されてきた理由なのでしょう。日本では生のドラムスティックを手に入れるのは難しいですが、モリンガパウダーやモリンガ茶なら比較的入手しやすくなっています。ぜひ一度試してみてください。



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