アーユルヴェーダ料理教室で学んだバターミルクカレー|消化を助ける古代の智慧

アーユルヴェーダ日記

週に一度の特別な時間

アーユルヴェーダ施設での滞在中、私が最も楽しみにしていたのが週に一度の料理教室でした。外部から招かれた料理の先生が、施設の食堂で伝統的なアーユルヴェーダ料理を教えてくださるのです。

その日習ったのは「バターミルクカレー」という、一見シンプルながら奥深い一品。最初はその名前から想像していた料理とは全く違う姿に戸惑いましたが、一口飲んでみると、その優しい味わいと体への染み渡り方に驚かされました。

バターミルクって何?

「バターミルク」と聞くと、バターの風味豊かなミルクを想像される方も多いでしょう。でも、インドやパキスタンで使われるバターミルクは、実はヨーグルト(現地では「ダヒ」と呼ばれます)から作られる、酸っぱくてさっぱりとした飲み物なんです。

バターの味は全くしません。むしろ、発酵した乳製品特有の酸味が特徴的で、最初は「えっ?」と思うかもしれません。私も正直、初めて飲んだときは少し苦手でした。でも不思議なもので、毎日飲んでいるうちに、その独特の風味がクセになってくるんです。

アーユルヴェーダでは、このバターミルクが消化を助け、胃を保護する効果があると言われています。5000年の歴史が証明する、体に優しい食材なのです。

シンプルだからこそ美しい「バターミルクカレー」のレシピ

料理教室で教わったレシピをご紹介します。材料はたったの6つ。作り方も驚くほどシンプルです。

材料(1人分)

  • 薄めたバターミルク:1カップ
  • 水:1/2カップ
  • ターメリックパウダー:小さじ1
  • フェヌグリークパウダー:小さじ1/2
  • カレーリーフ:2〜3枚
  • 塩:お好みで

作り方

  1. 水を沸騰させる:鍋に水を入れ、ターメリックパウダーとカレーリーフを加えて沸騰させます。
  2. バターミルクを加える:沸騰したらバターミルクを加え、すぐに火を止めます。ここがポイント!沸騰させすぎると分離してしまうので、注意深く。
  3. 仕上げ:フェヌグリークパウダーを加えて軽く混ぜ、お好みで塩を加えて完成です。
シンプルな料理:バターミルクカレー

一杯の中に込められた智慧

このバターミルクカレーを初めて飲んだとき、その優しい温かさが胃にすっと染み込んでいくのを感じました。スパイスの香りが鼻腔をくすぐり、酸味が疲れた胃を労ってくれるような不思議な感覚。

先生が教えてくださったのは、これは単なる料理ではなく「薬膳」だということ。ターメリックの抗炎症作用、フェヌグリークの消化促進効果、カレーリーフの抗酸化作用…一つ一つの材料に意味があり、組み合わせることで相乗効果を生み出すのです。

マメ科の植物、フェヌグリーク

現代の私たちは、忙しい日常の中で胃腸に負担をかけがち。そんなとき、このシンプルな一杯が体をリセットしてくれる。アーユルヴェーダの教えでは「消化力(アグニ)」が健康の基本とされていますが、まさにそれを実感できる料理でした。

日本でも作れる、続けられる

帰国後、このレシピを日本でも再現しています。材料は少し手に入れにくいものもありますが、インド食材店やオンラインで購入可能です。カレーリーフは冷凍のものでも十分香りが楽しめます。

アーユルヴェーダ施設にあるカレーリーフの木

何より嬉しいのは、作るのに5分もかからないこと。忙しい朝や胃もたれを感じる夜に、さっと作って飲むことができます。最初は酸味に驚くかもしれませんが、体が求めている時にはとても美味しく感じるから不思議です。

食べ物から始まる、本当の自分との対話

アーユルヴェーダの料理教室で学んだのは、レシピ以上のものでした。食べ物は単なる栄養補給ではなく、自分の体と対話するためのツール。今日は胃が重いな、疲れているな、そんな体の声に耳を傾けて、必要なものを選んで摂る。

バターミルクカレーは、そんな「体との対話」を始めるのにぴったりの一杯かもしれません。古代から受け継がれた智慧を、現代の私たちの生活に取り入れる。それが、本当の意味での「wellness」なのかもしれませんね。

皆さんもぜひ、この優しい一杯を試してみてください。最初は戸惑うかもしれませんが、きっとあなたの体が喜ぶ声を聞くことができるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました