アーユルヴェーダ施設で生まれた絆と、初めてのヒンドゥー寺院

インド旅行のヒント

アーユルヴェーダ施設に滞在して数日。毎日同じ食堂でお食事を共にしていると、自然と会話が弾むようになります。年齢も出身国もバラバラな私たちですが、同じ空間で心身を整える時間を過ごしているからでしょうか。気がつくと、まるで昔からの知り合いのような親近感が生まれていました。

「寺院に行きませんか?」から始まった特別な夜

そんな中、特に仲良くなった5人のグループで「近くのヒンドゥー寺院を訪れてみませんか?」というお誘いをいただきました。せっかくの機会なのでクルタという美しいインドの伝統衣装を着て、額にはビンディという装飾的なシールを貼ってもらいました。

ビンディには本来宗教的な意味合いがありますが、現代では多くのインド女性がファッションアイテムとして楽しんでいるのだそうです。私がビンディをつけると、周りの女性たちが「とても可愛い!よく似合っている!」と口々に褒めてくださって、なんだか照れくさいながらも嬉しい気持ちになりました。

哲学者シャンカラに出会う

今回お参りしたのは、隣り合って建つ「スリ・スリジェリ・シャンカラ寺院」と「スリ・クリシュナ寺院」。特に興味深かったのが、シャンカラを祀った寺院でした。

スリ・スリジェリ・シャンカラ寺院の入口の門

シャンカラ(788-820年頃)は、ケララ州出身の偉大な哲学者で宗教指導者。彼が確立した「アドヴァイタ・ヴェーダーンタ」という不二一元論の思想は、今なおインド哲学の根幹をなしています。同行してくださった方から彼の生涯について伺うと、わずか32年という短い生涯の中で、インド全土を巡り歩きながら宗教改革を行った偉人だったのですね。現在でもインドの人々から絶大な尊敬を集めているというのも納得です。

インド最大の哲学者シャンカラ(写真はWikipediaより)

文化の違いを肌で感じる小さな発見

寺院は土足厳禁なのですが、ここで面白い文化的配慮を体験しました。「入口にサンダルを置いておくと、なくなってしまう可能性があるから」ということで、駐車場の車の中で履物を脱ぎ、裸足で寺院まで歩くことに。こうした知恵も、長年の経験から生まれた現地ならではの文化なのでしょう。

祈りのエネルギーに包まれて

生まれて初めて足を踏み入れたヒンドゥー寺院。その瞬間、空気の質が明らかに変わったのを感じました。人々の深い祈りと信仰が積み重なって作り出されるエネルギーというのでしょうか。その神聖な雰囲気に、思わず身が引き締まる思いでした。

一緒に参拝した仲間のうち2人は信仰の深い方々で、僧侶から額に赤い粉(ティラカ)をつけていただき、静寂の中で心を込めてお祈りをされていました。その姿を拝見していると、信仰というものが持つ力の大きさを実感せずにはいられません。

神聖な赤い粉ティラク

そういえば、アーユルヴェーダ施設のスタッフの中にも、朝の出勤時に額にティラクをつけている方がいらっしゃいます。きっと仕事前に寺院でお祈りをしてから職場に向かわれているのでしょう。こうした光景を目にすると、インドの人々にとって寺院参拝がいかに日常生活に自然に溶け込んだ大切な習慣なのかがよく理解できます。

アーユルヴェーダ体験を通じて得たもの

アーユルヴェーダ施設での滞在は、単純に身体を癒すだけの時間ではありませんでした。多様なバックグラウンドを持つ人々との出会い、そしてインドの深遠な文化や精神性に触れる貴重な機会でもあったのです。今回の寺院体験も、新しい仲間たちと一緒だったからこそ、より深く意味のあるものになったのだと思います。

滞在はまだ続きますが、すでにこの経験が私の人生観に大きな影響を与えていることを実感しています。明日もまた、どのような発見や学びが待っているのか、今からとても楽しみです。

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