まず特筆すべきは、私が滞在したナガルジュナ・アーユルヴェーダ・センターが、ケララ州政府認定の正式医療施設だという点。「何やら怪しげな秘術」ではなく、インド人なら保険適用される堅実な医療機関なのです。アカデミックな安心感というのは、未知の医療体験に臨む際の強い味方ですね。
各クライアントには担当医が配置され、毎朝の回診で体調を細やかに確認。個々の体質や日々の状態に合わせたオーダーメイドの食事、薬、施術が指示されます。女性には女医、男性には男性医師という配慮がされています。
「体の声」を聴く診断セッション
私の担当医、Dr. アヌジャは、施設近隣出身の愛らしい笑顔の持ち主。

彼女は流れるようにカルテを埋めていきます—家族構成、身長、体重、食生活(ベジタリアンか否か、食事の回数)、飲酒・喫煙習慣、女性特有の健康情報、排便状況、病歴…。
健康上の悩みを列挙する際、「胃痛はどんな種類ですか?」という質問に英語での説明に窮する場面も。医療用語の事前準備の重要性を痛感した瞬間でした。次回は「鈍痛」おかげで、「灼熱感」などの用語リストを持参しようと知的好奇心が刺激されます。
ベテラン主任ドクターの的確な「体質診断」
続いて、施設の主任ドクター、Dr. マノジュの診察へ。彼のオーラは「何でも聞いてごらん」と語りかけてくるよう。職業や生活習慣、精神面でのストレス要因まで丁寧に確認した後、身体チェックへ。腰痛状態確認のため横になって足を上げる動作をした際、私が顔を歪めたの見逃しませんでした。

診断結果は「ヴァータとピッタの増加」。アーユルヴェーダでは人の体質を「ヴァータ」(風)、「ピッタ」(火)、「カパ」(水と地)の3つのドーシャ(エネルギー)で説明します。この不均衡を是正する5日間の基礎治療計画が即座に立案されました。(ドーシャの詳細はこちらから)
「では今日から施術を始めましょう。アビヤンガムという薬草オイルのマッサージです。1時間後でよろしいですか?」 思わず「え?もう始めるんですか?」と素っ頓狂な声を上げた私に、「明日からの方がよろしいですか?」と紳士的に問い返すDr. マノジュ。 「いいえっ、ぜひ今日からお願いします!」
一刻も早く施術を体験したい知的探究心と、一回でも多く受けたい「お得マインド」が見事に共鳴した瞬間でした。
初めての施術の様子ついてはこちらのブログで。
日々の医学的モニタリング—朝の回診の意義
特筆すべきは、毎朝の担当ドクター回診の綿密さ。「よく眠れたか?お通じは?」という何気ない問いかけから血圧測定まで、微細な体調変化を捉える仕組み。風邪などの軽微な不調でさえ、施術・薬・食事メニューの変更対象となる徹底ぶり。
生活全般にわたるドクターの目配りは、「全人的医療」の理想形。安心して身を委ねられる環境です。
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